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音量と音圧 

この章で、「音圧を上げるのとレベルを上げるのとはまったく別」と書きました。

しかし、物理的に言うなら、この両者はまったく同じなのです・・・「ってオイッ!!」

いや・・・ちょ・・・ごめん!お願い、殴らないで!顔はやめて!あたし女優だから!

物理的に言えば、音は空気の圧力の変化です。空気圧の粗密が振動となり、鼓膜を揺さぶることで音として認識されます。「音圧」という場合には、この圧力の変化を「Pa(パスカル)」で表現します。ただ、実際のPa値は非常に微細で扱いにくいため、これを一定の計算式を使って変換し、実用的に表現したものを「音圧レベル」と呼び、単位「dB(デシベル)」で表現します。これは普段私たちが「音量」と呼んでいるものであり、つまり、音圧も音量も同じものなのです。

ただ、ミキシングの世界では、この「音圧」という言葉を「楽曲全体の平均的な音量レベル」という概念で使っています。

つまり、「音圧を上げるのとレベルを上げるのとはまったく別」というのは、「その曲の平均的な音量レベルを上げなければ、迫力のあるサウンドにはならない」という意味なのです。

例えば、ミックスされた曲の全体的な音量を上げても、パートごとの音量レベルにバラつきがある場合、最終ミックスでは最大音量を出す楽器に全体のレベルを合わせるため、その楽曲の相対的な平均音量レベルは上がりません。

ミキシング的な意味で」音圧を上げるためには、トータルコンプで全体の音量を均一に上げるという作業が必要なのです。これにより、楽曲の相対的な平均音量レベルが上がり、かつ、エッジが立ってメリハリのあるサウンドになります。

ただ、こうして音圧を上げ続けることは、結果的に各楽器および楽曲のダイナミックレンジを狭くすることであり、それがいいことなのか悪いことなのかはいまだに論争が続いている問題ではあります。

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