楽器の特性を知る(ガイドライ ン・II)

<弦楽器>

クラシカルなアレンジをするときには、各楽器(バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス)の音域に気をつけましょう。出せない音を出 してはいけません。また、オープン・ボイシングを上手に活用しましょう。

特別な場合(聞かせたいフレーズがあるとか、低音を強調したいとか)を除いて、ストリング・アンサンブルの場合はタイミングもベロシ ティーもほぼ均一で問題ないと思います。本物のクラシック演奏者の演奏レベルをナメてはいけません(笑)。


<管楽器(ハーモニカ・アコーディオンを含む)>

息(アコーディオンの場合は空気)を使って演奏するわけですから、当然のことながら延々と長いフレーズを吹き続けることはできません。ブ レスの位置を常に意識してください。例えばトランペットが大音量の高音に上がる時などは、その手前に十分なブレスの間隔が必要です。フレーズを 作ったら、そのフレーズにあわせて自分で吹くマネをしてみて、息が続くかどうかを確かめてみるのもいいかもしれません。プロの演奏者の場合、一般人よりも かなり息が長く続きますが、もちろん限界はあります。

また、ピアノやギター等の減衰音系の楽器と違い、「スフォルツァンド(sf)してからクレッシェンド」などという奏法も効果的に使われ ます。ボリュームコントロールを駆使して、上手に再現しましょう。

スフォルツァンド」とは、音の出だしを弱く出て、その直後にアクセントを付ける かのように強く吹き上げ、まただんだん弱くする奏法のことです。ピアノやギター等の減衰音系の楽器では不可能な奏法ですが、ピアノの楽譜にはよく書かれる ことがあります。この場合は「出だしのフレーズを強く、続くフレーズをすぐに弱く」という意味になります。楽譜上の記号は「sf」です。

スフォルツァンドしてからクレッシェンドの例


<ハープ>

楽器の構造上、突然転調することができません(オーケストラなどでは、転調に対応するために2台のハープを用意すること もあるようです)。転調がある場合には、その前に十分な隙間を空けておきましょう。


<ビブラフォン>

ピアノと違い、「ある音だけを伸ばしておいて別の音をスタッカートさせる」ことはできません。シンセのキーボードで弾く と、どうしてもそういうフレーズになってしまう場合がありますが、ビブラフォンでは「すべての音を伸ばす」か「すべての音をスタッカートする」かのどちら かです。シンセでリアルタイムに弾いて再現するときは、基本、すべてのフレーズをスタッカートで弾き、サスティーン・ペダルを踏むか踏まないかで調整する とそれっぽくなります。


<民族楽器>

出せる音に制限がある楽器が多くあります。また、西洋音楽の音階には収まらない音を出す楽器もあります。プログラミングするときには、 その楽器の出せる音・出せない音を正確に把握しておきましょう。

あまりこだわる必要はないかもしれませんが、「それらしさ」を追求したければ楽器構成にも気をつけるべきです。例えば、オーセンティッ クなサンバにコンガを使うことはありません。サンバはブラジル、コンガはキューバ。生まれが違うのです(最近はあまりこだわらないようですが・・・)。


すべてに共通して言えるのは、「本物の演奏を一音一音確かめて聴く訓練をしよう」ということです。本物らしさを演出するには、「このフレーズのこの音はど れくらいの強さ/タイミングで音を出しているのか」を分析することがとても大事です。
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