アーティキュレーション

前章で、いろいろな楽器のフレーズをプログラミングするときの簡単なガイドラインをご紹介しました。共通するのは、「ベロシ ティーの調整」がとても重要なポイントだということです。

かつて、「コンピューターで人間らしいノリを生み出すには、音の入るタイミングをズラすことが効果的」と言われていた時代がありまし た。もちろん、今でもそれは変わりません。しかし、それと同じくらい(あるいはそれ以上に)一音一音の強弱は、音楽全体のノリやフレーズの意味を強調する 意味でも、とても大事なのです。

このような、フレーズ内の音の強弱を「アーティキュレーション」と言います。

アーティキュレーションは「音楽をどのように表現するか」の、とても大事なファクターです。たとえ音が正確に弾けても、アーティキュ レーションが貧弱なプレイヤーは名プレイヤーとは言えません。逆に、多少音が外れていても、アーティキュレーションがうまいプレイヤーの演奏は心に響くも のがあります。

簡単に言うと、「アーティキュレーション」とは「歌ゴコロ」なのです。

MIDIプログラミングにおいては、この「歌ゴコロ」を冷静に分析し、数値に置き換えなければなりません。極めて不条理な作業ですが、 ポイントはいくつかあります。


<ポイント1>

速いパッセージでは、各フレーズの頭にアクセントを置き、後の音のベロシティーを下げておきます。ただし、フレーズの中に上下動がある 場合は、その一番高い音にアクセントを持っていくと自然に聴こえます。


<ポイント2>

ドラムの場合、ハイハットのアクセントはとても大事です。裏拍に置くのか、表拍に置くのか。それにより、音楽全体の印象が変わってしま うことさえあります。一般的には、フォーク系・ロック系の曲の場合表、ダンス系・ポップ系の曲の場合は裏に置くとそれっぽくなるみたいです。


<ポイント3>

ベースだけではなく、その他の楽器でも、音の 「On」のタイミングはもちろん、「Off」のタイミングにも十分気をつけましょう。フレーズをスラーでつなげすぎるとダラダラとした演奏に聴こえてしま います。演奏にメリハリをつけるには、フレーズの切れ目でしっかりした「Off」をつける(=ブレスを効かせる)ことが大切です。

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