定位(1)
今回は定位についてお話します。

実はこの定位というのは技術的には非常に難しい問題です。簡単に説明するとしても本一冊分です。

まずはモニタの配置についてです。

みなさんは普段、何気なしにステレオすなわち2chの音声信号を扱っています。

何故スピーカは2つなのでしょう。

そうですね、私達には概ね耳が2つ、水平についているからです。他の動物も水平に2つですね。耳は垂直に付いていませんよね。当たり前と思われるでしょう がここのところを気をつけてください。何故そうなのかは、進化論や形態学に任せます。

我々が音楽制作で注意することは水平に置かれた2つのスピーカで”擬似的に”音場再現を行っているということです。

センターに定位させるときは真ん中にスピーカがあるわけではないので、左右二つのスピーカから同じ音を出してセンターに定位させています。これをファント ムセンターといいます。

ここに見本の音を掲載します。音源はホワイトノイズというもので、様々な周波数が盛り込まれています。ちなみに聴感補正された人間の聞こえ方としてフラッ トなのはピンクノイズといいます。このホワイトノイズを左右同じレベルで出したものが以下の音です。

センターに定位していますよね。

少し広がって見えるようでしたら頭の位置を前後左右に動かして、ノイズの見た目の大きさが一番小さいところに位置を変えてください。

ご存知だと思いますが、ステレオスピーカの最適聴取位置は頭の位置を頂点とした正三角形です。左右スピーカの中点に直行する軸からみて各々のスピーカが角 度30度から40度に配置されるのがベストです。定位実験では36度という角度を用いることが多いようです。スタジオのスピーカもこのように配置されてい ます。

この配置関係の上で聞いてみてください。

次に左側にだけ定位させて見たいとおもいます。フェーダでRchを下げていって、左側だけに定位させるのには左右どれだけのレベル差になるかの実験です。

下げて行くとRchを20dB下げた時点で、”Lchにのみ定位している様に”聞こえます。すなわち左右の定位は音量的には20dBの差があればセパレー トされるということを指しています。したがって定位をレベルで行う場合は、20dBという狭い範囲で調整をおこなう微妙な操作なのだということを理解して ください。ちなみにフェーダを絞りきったら-60dBというのが一般的です。フェーダの3分の1のストロークで調整します。これを簡易化したのがパンポッ ドです。

それでは定位を決めるものは各チャンネルの音量やパンポッドでしょうか?

他にもあります。

まず、定位がはっきりしないものを挙げてみます。

これは左チャンネルを反転させたもので、いわゆる逆相の音です。広がっているようにも聞こえますが、非常に気持ち悪い。

※冗談抜きで長い時間聞かないで下さい。酔ってしま い、気持ち悪くなることがあります。

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