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メディアハンドリング 変換
皆さんは完成した楽曲をどのような手段でリスナーに届けるのでしょうか?非圧縮ファイルですか?MP3?CD-Audio?

様々な手段があります。どれが善し悪しということはありません。配布手段とは音楽とは別の話であり、どちらかと言うとコスト問題です。

メディアハンドリングの手段は、時間を含めたコストで選択してください。なんにつけファイルでの転送はコストを抑えることができます。

しかし、CD−Audioのようにライナーノーツが重要だったり、CDのラベルも重要だったりします。また、こういう美術デザインをやることも楽しみの一つですし、仲間の協力を得てワイワイやるのもまた楽しいでしょう。

ファイル提供にするが、WebサイトでライナーノーツやCDラベルに相当すること行うという方針でもよいですね。リスナーへどのようにハンドリングするかも楽しみの一つで、伝えたい事とコスト、技術的な内容でいくつもの選択肢が利用できる時代です。

ただ、Nishioka氏のコラムにあるように「説明過多」には気をつけてください。これ本当にみっともない場合が多い。「なにゴチャゴチャ、メルヘン書いてんだよ、聞いただけじゃわかんない音楽なのかよ」とか思う人多数。

また前にも少し書きましたが、楽曲の作り手としては、なんにつけ自分で思っているより極端に表現をしなければ伝わりません。これを「説明過多」で補完するのはいかがなものかと。

また、CDのラベルやライナーノーツの文字について、フォントにも気をつけてください。「子供の成長記録のビデオのテロップ」に使われるようなダサいフォントを使う人が多いのにはあきれてしまいます。

「聴く前に聞く気をなくす。」です。なんにつけメディアの選択というのは難しいのだという事に注意してください。



次にメディアハンドリングを要するシーンの違いに気をつけてください。

直接リスナーへ楽曲として渡すものだったり、ビデオの音素材だったり、ライブパフォーマンスの音源だったりいくつかのパターンがあると思います。最終的にこれを利用する人の環境を想定したり、次の使われ方を想定して利用するメディアを選択してください。

例:あなたが自主制作映画のサウンドトラックを依頼されて、ラッシュのBlu-rayをもらって、楽曲をつくりました。映像に同期した完璧な編成をおこ なって、楽曲をディレクターにCDで渡します。完成品を見るとあなたがこだわったシーンとの同期は上手く行っていない様です。さて、どうしてでしょう?

答えはあなた側の打ち合わせ不足です。自主制作のシステム的な時間の管理や、各工程での作業内容、機器まですべての内容を把握して、適切なメディアでハン ドリングしなかったからです。あなたが制作したものが、最終的にどのように使われるかを把握して作業を位置づけしたり、メディアを選別してください。

Nishioka氏の作曲・編曲講座 Basic編 「ネットでの音楽製作について」で、ボーカルトラックの送り返しの工夫というか、実は苦労話があります。

実はこれ、私もネット制作に限らず、この手の問題を扱って来ましたが、双方でお互いに相手の環境を把握していないと本当に厳しい。Nishioka氏が頑 張って手で同期を取っていった話、本当にやるのはかなり大変なんです。制作に関わっている作業の場合、ハンドリングについては十分に打ち合わせをしてくだ さい。

何を打ち合わせすれば良いのか?うーん、まずはJAPRS/JPPAのガイドブックを読まれるなど基本的な勉強をされてからお問い合わせいただければ、、、



最後に変換ですが、もう、これはコツは1つしかありません。「変換回数は1回だけ。」何度も変換を要するようなフォーマットで制作しない。例えばLinerPCM fs=44.1kHz/16bitの原版をMP3に変換してからFlacに変換するなどです。

分かっている限り途中に変換を行わない作業パスを作るべきです。デジタル情報といえども、中身はエネルギーの変量データです。ファイルフォーマットを変えるだけで、実はエネルギーの変換を行っているのと等価です。

エネルギーの変換が行われるとき、そこには必ず歪が生じます。これは物理的に避けて通れません。電気エネルギーがスピーカで磁気エネルギーに変わって、更に空気の振動エネルギーや熱に変化していますね。

エンジンだって、化学エネルギーが熱エネルギーと運動エネルギーに変換されていますよね。そしてどちらも変換の際に歪を生じているめに様々な問題を生んでいます。

このため、変換という作業は、元のデータから一発だけで行うべきです。

他にあるとすれば、圧縮されることが見込まれるのであれば、あらかじめそれを見込んだ音作りが必要ですが、最近の技術の進歩によって、圧縮も高度化して、現在ではあまり気にする必要はないのでは無いかとおもいます。

ビットレートすなわち情報量が音質も含んだ、相手に伝わる情報量の全てですから、ビットレートは高いほうが良いです。LinerPCM fs=44.1kHz/16bit STREOのビットレートは約1.5Mbpsで、1分当り10MBのファイル容量を要しますね。



良い音で作れば、どんなシステムであろうが、どんなビットレートであろうが、聞いたときには「良い音は良い音」です。


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