「インサート」と「センド/リターン」

エフェクターをかけるとき、そのかけ方には2種類あります。

「インサート」「センド/リターン」です。

「インサート」とは、ある音に対して直接エフェクターを通し、出力する方法です。例えばEQなどは、直接EQに音を入力し、音質を変化させ出力します。出力される音は変化した音だけであり、元音は出力されません。元音が出力されちゃったら、何のためにEQしているのかわかりませんよね(^^;)。

では、「センド/リターン」とは何でしょう?

上にも書いた通り、原則としてエフェクターは、入ってきた音に対して何らかの効果を与え、その効果部分「のみ」を出力します。例えば、リバーブというエフェクターは元音に対して残響音をつけるエフェクターですが、これを「インサート」した場合、「ヤッホー」が「ヤッホーォォォォン」になるのではなく、「ォォォォン」だけが出てくるのです。実際には「Balance」とか「Dry/Wet」とかいうパラメーターで元音とのミックスを調整できるのですが、これは元音と効果音(この場合は「ォォォォン」の部分)とのバランスを取るだけであり、効果をもっと強くかけたければ、元音の音量を下げていくしかないのです。

もうお分かりでしょう。つまり、例えばある音に対してリバーブをかけ、「もっと残響音が欲しいな」と思ってWet方向にツマミを倒していくと、元音がどんどん小さくなっていってしまうのです。これでは困ります。

これを解決するのが「センド/リターン」です。センド/リターンでは、元音はそのまま残しつつ、途中で元音を分岐させてエフェクターに送り(Send)、出てきた効果音を元音に返し(Return)、最後にミックスします。こうすることで、元音の音量にはまったく影響を与えず、エフェクト部分のみの音量を調整することができるわけです。

こうして考えると、どのエフェクトをインサートで使い、どのエフェクトをセンド/リターンにすべきかが見えてくるでしょう。一般的には、コンプレッサーやEQ、モジュレーション系のエフェクトはインサートで、リバーブ、ディレイ系のエフェクトはセンド/リターンで使うのが普通です。

しかし、それが「正解」ではありません。たとえば、あえてリバーブを「インサート」し、Dry/Wetで調整することで、実音があまり聴こえないのに残響音が響く、ある意味「幻想的」な音を作ることができます(僕もピアノパートでよくやります)。

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