聴感特性

いくら電気的に音量を検出し、その音量レベルを表示するとは言っても、そこはやはり機械のすること。人間の耳は、もっと複雑にできているのです。

人間の耳には、聞き取りやすい音と聞き取りにくい音が存在します。一つは「周波数特性」といい、具体的には、1000〜4000Hzあたりが一番聞き取りやすく、それ以上でも以下でも、どんどん聞き取りにくくなります。

また、「マスキング特性」といって、大きな音の近くにある小さな音は聞こえにくくなります。

さらに「時間特性」というのもあり、これは「一瞬の大きな音より、持続する音の方が大きく聞こえる」というものです。

これらの要素が複雑に絡み合った結果、VUメーター上は適正なのに、なぜか大きく、または小さく聞こえるという現象が発生します。

では、これをどうすればいいの?

こ れを電気的に分析し、表現するのが「ラウドネスメーター」です。ハードウェアタイプのものも、ミキサーにプラグインするソフトウェアタイプのものもありま す。ほんの数年前までは、価格的に我々アマチュアには手が出せるものではありませんでしたが、最近ではかなり現実的になってきました。

しかし、プロの現場でラウドネスメーターが必要なのは、テレビで放送するとき、番組やコマーシャルの間で音量レベルを一定に保つた め・・・すなわち、「コマーシャルになったら急に音量が大きくなった」とか、「チャンネルを変えた途端に急に音量が大きくなった」とか・・・ラウドネスは そういう状態を防ぐための規格であり、音楽の現場では使いません。

じゃあ、どうしましょう?

もう、感覚に頼るしかないです(ゥオイッ!!)。

だっ て、しょうがないじゃん。ほんとにそれしかないんだもん。だからこそ、一度ミックスした音楽を、日を改めてもう一度聴きなおしてみるとか、環境を変えて聴 き直してみるとか、過去のミックスと並べて聴いてみるとかいう、地道な作業が必要なわけですよ。それで「やっぱりおかしい」となったら、最後は自分の耳を 信じて調整するしかありません。ただし、CLIPランプが点灯するのは、どこから考えても間違っていますので、絶対にやってはいけません。

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