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ネットでの音楽制作について

インターネット環境の進化に伴い、私たちのようなアマチュアミュージシャンがネット経由で音楽を作ることも珍しいことではなくなってきています。ネットを利用して音楽を制作することには様々な長所がありますが、反面、短所もあります。

<長所>

時間の制約を受けない
スタジオに入って録音を開始するためには、全員のスケジュールを合わせなければなりません。ネット制作であれば、それぞれが自分の都合のいい時間を選んで制作することができます。

場所の制約を受けない
たとえば作曲者が東京に住んでいて、ボーカリストが大阪に住んでいるような場合、一緒にスタジオに入るのは相当の金銭的・時間的覚悟が必要です。ネット経由であれば、たとえ相手が海外に住んでいてもまったく問題ありません。

誰でも参加できる
上記と関係しますが、新しいメンバーを受け入れるときにも、相手がどこに住んでいるとかの地理的条件を考える必要はありません。魅力的なミュージシャンをみつけたら、すぐにメールでコンタクトを取り、条件があえばすぐに一緒に始めることができます。

きっちりしっかり作れる
時間的、場所的制約を受けないということは、音作りに自由に時間がかけられるということで、きっちりとまとまった音作りができます。

<短所>

フィードバックに時間がかかる
スタジオで一緒に録音していれば「ここが間違っている」とか「ここはこんな感じで」とかいう指示を出し、その場ですぐに変更できます。しかしネット経由の場合、一度ファイルを受け取り、内容をチェックし、間違っている場合はもう一度指示をだし、修正してもらうことになります。相手の都合にもよりますが、この修正には数日かかることもあり、人によってはそれだけで面倒になり、妥協の原因になってしまうこともあります。

メンバーそれぞれがDAW設備を持っている必要がある
例えばトラックメーカーがカラオケを作り、ボーカリストが歌を録音する場合、ボーカリストは送られてきたカラオケにあわせて歌を録音するための設備を持っていなければなりません。もちろん、その度に一人でスタジオに入り歌を録音することも可能ですが、ネット制作の場合フィードバックに時間がかかり、録り直しが頻繁に行われる傾向にあるので、できれば自宅にあった方が楽でしょう。

コミュニケーションに手間がかかる
何しろ相手が目の前にいませんから、電話やメールでのやり取りになります。これにより、目の前にいれば簡単に伝わるような事項でも、伝えるのに手間がかかったり、伝わらなかったりすることがあります。

ライブ感がない
当然といえば当然なのですが、一緒にやっていませんから、「ライブの空気感」を出すのは難しいです。また、ネットでの制作では音作りが「こぢんまり」とまとまってしまい、ダイナミックさに欠けるミックスになる傾向があります。

さて、こんな長所・短所をもったネット制作ですが、もしネットでの制作を始めるのであれば、いくつか注意すべきことがあります。この項では、それらをまとめていきたいと思います。

なお、ここからは僕が普段実際に行っていることを中心に書きます。つまり「トラックメーカーとボーカリストとのワークフロー」です。人によってはまったく異なるワークフローを使う場合もあるでしょうが、基本はそれほど変わらないと思います。

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