コード進行例(I)

(1) IIm - V7 - I (Dm - G7 - C)

非常によく使われる、終止へ向かう進行で、通称「ツー・ファイブ」と呼ばれます。恒例「地獄ののぞき窓」は、怖い人は読 まないでください↓。

IIは、Iに対するドミナントのドミナント(ドの5度上(ソ)のさらに5度上 (レ))なので、「ドッペル・ドミナント」と呼びます(「ドッペル」とはドイツ語で「ダブル」の意味)。上の進行の場合、最初のDmはG7 のドミナントとして扱えるから、音楽的に自然に聴こえるのです。


<バリエーション1>

IIm - V7 - VI (Dm - G7 - A)

これも終止へ向かう形なのですが、最後がトニックではありませんね。この「VI」のように、ある役割を果たすコードの代わりに使われる コードを「代理コード」と呼びます(代理コードについては、ここでまとめます)。今回の 場合は特に、トニック(終止)の代わりに使っているので、「偽終止(ぎしゅうし)」と言います。「ニセ」だなんて言われると聞こえが悪いで すが、普通に終わるよりドラマティックな感じが演出できます。

ドッペル・ドミナントをサブドミナントの代理コードとする考え方もあります。この 考え方に基づいても、この進行が理論的に正しいことが裏付けられます。

・・・ただ、音楽理論は「気持ちいいと思えるコード進行なりコード自身が『なぜ気 持ちいいのか』を後付けで理論化したもの」であり、「この進行が理論的に正しいから」気持ちいいわけではないのです。それは順番が逆です。

↑あら?珍しく、ちょっと弱気な「地獄ののぞき窓」。ちょっといいとこあるじゃん。


<バリエーション2>

IIm7 - IIm7/V - IM7- I7 (Dm7 - Dm7/G - CM7 - C7)

もう少し複雑な形にしてみました。最後に7thをつけることで、続く感が生まれます。



(2) (マイナースケールで)VI - V - Im (A♭ - G7 - Cm)

マイナースケールにおいて、終止に向かうときによく使われるパターンです。


<バリエーション1>

VI - Vm - Im (A♭ - Gm - Cm)

2番目がマイナーに変わっただけですが、これだけでも雰囲気が変わりますね。僕は個人的にこれを「サザン進行」と呼んでいます。サザ ン・オールスターズの「あきらめの夏」で使われているのを聴いて以来、この進行を聴くとどうしてもサザンを思い出してしまうからです(笑)。


<バリエーション2>

VIm7(9) - V7+9 - Im9 (A♭m7(9) - G7+9 - Cm9)

こうなると今度はすっかりR&Bですね。代表的なのはマライア・キャリーの「Emotions」でしょうか。なので、僕は個人 的に「Emotions進行」と呼んでいます(笑)。一時期のm-floも、この進行を多用していましたね。

コードの構成音が少し難しいかもしれないので、楽譜で書いておきます。


<Echo -feeaturing Harumi-> by Takayuki Nishioka


(ここではキーはGm)

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