仕事相手

「まだ売れていない」あなたは、仕事の内容を選んでいる余裕はありません。しかし、「仕事相手」は選ぶべきです。なぜなら、まだ自力で売ることのできないひ弱なあなたの運命は、その人にかかっているからです。

「キミの曲からは『オレはプロになるんだ!』っていう意思が感じられないんだよね」とか、「情熱が感じられないんだよね」なんていうプロデューサー(「自称」を含む)がいたら、その人を相手にまともに仕事をしてはいけません。もちろん、「まだ売れていないあなた」は、それでもなお、その人が持ってきた仕事を受けるべきです。多くの人に聴いてもらう機会が増えるからです。でも、そんな人にあなたの運命を託すべきではありません。

その人はあなたの演奏技術や音楽性を認めていないのではなく、あなたとあなたの音楽を「理解する能力がない」または「理解する気がない」のです。それが故に、あなたの演奏や曲それ自身ではなく、あなたの演奏が「汗をかいているように聴こえるかどうか」で判断しているのです(その方が「売れそうな気がする」から)。したがって「なぜ売れなさそうなのか」「何が悪いのか」を具体的に説明できず、さらにタチの悪いことに、自分でそのことに気づいていないので、「意思」とか「気持ち」とかいう曖昧な言葉を使うのです。つまり、その人は「プロデューサー」ではなく「一(いち)リスナー」に過ぎないのです(ほとんどのリスナーがそういう基準で音楽を選んでいる以上、仕方ないといえば仕方ないのですが・・・)。

そういう人はそのうち「キミ、最近情熱がなくなって来たんじゃない?」とか「もっとこう、ド〜ンと来るものないの?」などというわけのわからないイチャモンを付け出し、やがてあなたを捨てます。自分があなたの音楽に飽きちゃったことに対して(あるいは、あなたの音楽がニーズに合わなくなってきたことに対して)、あなたを納得させる具体的な理由と説明がつけられないからです。

話をしていて、「気持ち」とか「心」とかいう抽象的な言葉をやたら乱発する人は、そういうタイプの人だと思って間違いありません。そして、そういう人と仕事をしても何もいいことはありません。的確な指摘ができないので、あなた自身もまったく進歩しません。お金だけもらったら、後は適当にあしらっちゃってください。大丈夫です。そういう人は大抵、業界では自分で言うほどの力と影響力を持っていません。そんな人に本気で関わるだけ時間の無駄です。

しかし、どんなにイヤな相手でも、仕事相手は尊重しなければなりません。あなたの音楽をお金に変えてくれる人です。

繰り返します。これは「ビジネス」です。ビジネスマナーとして、相手は尊重しなければなりません。これは、アーティストだろうがサラリーマンだろうが変わりません。

「イヤなヤツだ」とか「コイツには本気で関わるだけムダだ」と心で思っていても、それを態度に出してはいけません。当たり前のことですよね。

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