平行調

いきなり「地獄ののぞき窓」の登場です。でも、今回の「のぞき窓」は読んでください。これ、とても大切です↓↓。

  • あるメジャースケールの短三度(3半音)下のマイナースケール
  • あるマイナースケールの短三度上のメジャースケール

は、どちらも調号の数が同じです。例えば

  • CとAmはどちらも調号なし
  • CmとE♭は、どちらも♭が3つ
となります。このような関係を平行調と言います。

「平行調での移動」というのはかなり使い手のある転調で、J-POPでも非常に多く使用されています。同主調での転調とちがい、キーもメジャー/マイナーも変わるのでドラマティックな展開が作りやすく、にも関わらず「調号の数が変わらない=メロディーの構成音が変わらない」ので、スムースに転調できるのです。さらにこの転調の便利なところは、「いつでも部分的に、メジャーとマイナーを行ったり来たりしやすい」というところです。たとえば:

<Boy meets Girl> by trf

C#m - B - A - E
A♭7/C - C#m - F#/B♭ - A♭/C

この曲は、テーマ部(Aメロ)はC#マイナー、サビはEメジャーの「平行調」の関係で移調します。しかし、上の例のように、本来C#マイナーであるはずのテーマ部で、最後の部分だけEメジャーを取ります。これは、その前のコード「A」が、C#mの全音下降進行(コード進行例(II)の(5)参照。今回はそれの逆行ですね)の行き先であるとともに、Eメジャーのサブ・ドミナントでもあるためEへ戻りやすいからであり、平行調の醍醐味ともいえるでしょう(小室氏の得意技でもありましたね)。

ちなみにこのような場合、前の章でも述べた通り、「III(E)I(C#m)の代理コード」という扱いなので、この部分だけを取って「転調」とは言いません。実際この曲ではこのあと、すぐまたC#mへ戻ります。

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