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投資を惜しむな

アマチュアミュージシャンにとって、機材やソフトを買うお金は大問題です。次々に発売される魅力的な新製品は、僕らの目を眩ませます。でも、それらを無尽蔵に買い続けることはできません。だって、お金ないもん。

一方、Web上には、あふれる善意と優れた技術を持つエンジニア達が、次々と魅力的なソフトウェアを開発し、それらを無料でダウンロードさせてくれています。中には製品版を凌駕するくらいの機能を持ち合わせたものさえあります。これらを見ていると、ひょっとしたら一円もかけずに、完全無料で音楽制作環境が作れるんじゃないかと考えたりします。

個人的な見解ですが、その考えは半分正解ですが、半分間違っていると思います。

確かに、これらのフリーウェアは非常に優秀です。しかし、誤解を恐れずに言うなら、フリーウェアはあくまでもフリーウェアなのです。すべてをそれでこなそうと思うのは、拡張性とか操作性とかいう点で、やはり無理があると思うのです。

もう一つ問題なのは・・・これは意識の問題なのですが、「タダで手に入れたものは、タダで捨てられる」ということです。本当に音楽を作りたいと考えているなら、ある程度の出費をすることで「お金を使ったんだから、有効に使わなきゃもったいない」と考えて自分の逃げ場を失くし、制作に集中する動機を作ることもできます。もしこれがフリーウェアだったら「まぁ、タダだし、どうでもいいや」ってなるでしょ?

もしあなたがプロを目指しているなら、これは当然のことと考えてください。プロを目指そうという歌手が自分のマイクを持っていないとか、作家志望の人がまともな音楽制作ツールの一つも買っていないとなると、姿勢を疑われても仕方ありません。お金をかけていないという問題ももちろんですが、それ以前にあなたの歌をどうやって録音するのですか?カラオケとの同期をどうやって取るのですか?もしそのデータの提出を求められたら?・・・もはや対応できません。アマチュアであっても同じです。入り口はフリーウェアで気軽に試してみるのもいいでしょう。その時点で合わないと思ったらいつでも後戻りできます。しかし、ある程度のレベルに達したら、きっとフリーウェアだけでは満足できなくなります。その時、それでも無理してフリーウェアだけで制作を続けようとすると、おそらくその不十分な環境があなたの意欲を削ぎます。そう、大事なのは「意欲を削いでしまう」ということなのです。

製品版はやはり製品版だけの価値があると思います。操作性や機能など、あなたのモチベーションを上げる魅力的な機能を備えているのです。環境の不十分さがあなたの才能を殺すなんて、もったいないと思いませんか?

誤解のないように。僕は「新製品はどんどん買え」と言っているのではありません。お金は大事です。実際の購入の際には慎重に検討を重ねるべきです。しかし、それでもなお必要だと感じたら、そこへの出費は惜しまないほうがいいと思います。あなたの才能を遺憾なく発揮させるために。

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