分数コード(Onコード)

さて、話をいったんトライアドに戻しましょう。何事も基本に立ち返るのは大事です。

もう一度、Cのコードを「右手で」弾いて下さい。Cの構成音については、もう説明しませんよ。わかるでしょ?

で、余っている左手でオクターブ下のドの音を一緒に弾きましょう。いわゆる「ベース音」ですね。

これで「C」です。紛うことなき「C」です。誰がなんと言おうと「C」です。

でも、音楽とはもっと自由であるべきです。右手のコードがCだからといって、ベースが「ド」でなければならない理由はどこにもないので す。

ためしに右手のトライアドはCのまま、左手のベース音をB♭にしてみましょう。

ほら。なんか複雑っぽく聞こえるでしょ?

このように、そのコードが本来取るべきベース音とは違う音を使用する場合、これを
分数コード」と呼びます。名前の由来は、このようなコードを

C/B♭

と表記するからです。(「C on B♭」と書く場合もあります。なので、「Onコード」と言う場合もあ ります」)

では、今度はベースはそのまま、コードの方を変えてみましょう。

左手は「ド」のまま、右手を「D」のコードにしてみます。

これは「D/C」ですね。

では、「C」と「D/C」を交互に弾いてみましょう。

C - D/C - C - D/C

どこかで聴いたことがありませんか?そう、これはミュージカル映画「ウエスト・サイド・ストーリー」の中の名曲「Tonight」の有 名な冒頭部分です。このように、コードが変わっていっても変わらない音(今の場合はベース音)があるとき、その変わらない音を「ペダル・ノート」 と呼ぶことがあります。

このような使い方は、曲の統一性を損なわないままある種の浮遊感を演出することができるので、場合によっては非常に有効です。

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