コンプレッサー(1)

ミキシングの初心者にとって、コンプくらい意味も効果も分かりにくいエフェクターもないでしょう。

コンプ(Compressor)とはその名の通り、入力された音を圧縮(Compress)するものです・・・え?「だから、わかんねぇよ」って?そうだよね(^^;)。でも、実はこれはとても大切なエフェクターなのです。なので、他のエフェクターよりページ数を使って、少ししっかり説明しますね。

下の図を見てください。この元音は、アタック部分で必要な音量を超えてしまっているのですが、その先の減衰部分はこれ以上レベルを落としたくありません。

こんなとき、コンプが役に立ちます。コンプは、元音が設定された入力値(Threshold)を超えたとき、設定したレベル(Ratio)まで音量を下げる役割を果たします。この用語がちょっと分かりにくいのかもしれませんね。

多分、一番分かりやすいのが下の図でしょう。Pro Toolsのコンプレッサーです。

パラメーターとしては

  • Threshold:音量を抑え始めるレベル=ここを超えたら音量の抑えこみを始める音量レベル
  • Ratio:音量を抑えこむ割合
  • Attack:音量の抑えこみが始まるまでの時間
  • Release:音量の抑えこみを終えるまでの時間
  • Knee:Thresholdの境界につける、抑え込みレベルのカーブ
  • Gain:最終出力の音量

上の図の縦線がThresholdで、ここを超えたレベルの音量は、Ratioで決めた傾き方にしたがってレベルを抑えられていきます。図中の四角いポイントが、元音の実際の音量です。Threshold以下に下がった音量はそのまま出力されますので、レベルに大きなバラツキが出てしまうボーカルやギターに、全体のレベルを均一に仕上げる目的で便利に使えます。このような目的で使うとき、これを「リミッター」と呼んだりします。

また、元音にノイズが入ってしまっているとき、無音部分のノイズを消すためにThresholdを低めにすることで、レベルがThreshold以下になったとき、そこに入っている「サーッ」というノイズを自動的に無音状態にしてくれます(この場合、Ratioでコントロールされるカーブは、Thresholdの左側部分になります。リミッターとは逆ですね)。このような用途で使うとき、これを「ゲート」と呼んだりします。もちろん、歌の部分に混ざってしまっているノイズは消せませんが、現代のようにノイズ消し専用の便利なアプリケーションが出るまでは、ノイズを消すのはコンプの重要な役割の一つでした。

つまり、リミッターもゲートも、同じコンプの仲間なのです。

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