使いどころ

さて、いろいろなコードと、コード進行の例を示してきました。苦悩と混沌のコードの世界は、ひとまず終わりに近づきつつあります。お疲れ様でした。

最後に、みんなに言っておきたいことがある(卒業式の先生風に)。

これらのコードおよびコード進行は、「使われるべき場所で使われてこそ活きるもの」です。

あなたがその曲をどう聞かせたいのかによって、使うべきコード、使うべき進行を決めてください。作曲者が別の人だったらその人と話し合い、意向をくみとってあげてください。

例えば「素朴に、静かに、じっくり聴かせたい」時に、+11thとかの強いテンションコードは不要です。荒削りなロックの場合は、M7でさえ邪魔になる場合もあります。何もしない素直なトライアドが一番しっくり来ることだってあるし、最もシンプルなカデンツが一番似合う場合だってあります。知っているからといって乱発してはいけません。「何もしない」というアレンジもあるのです。

メロディーを女の子に例えるなら、あなたはスタイリストです。彼女が一番きれいに見える手段を、あらゆる知識をフル動員させて考えましょう。そして、「素顔にTシャツが一番カワイイ」と思ったら、あえてシンプルなコードと進行を選びましょう。「ちょっと派手で大人っぽいメークが似合いそうだ」と思ったら、テンションを豊富に含んだ複雑な進行を試してみましょう。そして、二人とも誰もが振り向く魅力的な女の子にしてあげましょう。それがあなたのアレンジャーとしてのセンスです。

さぁ、これでもうキミたちに教えることは何もない。いや、もう何も教えられない。先生はもうすっからかんだ。むしろ教えてくれ。

次からは「リズム」の話です。

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