音律からのアプローチ

次に、音律(調律)の立場からこれを考えてみましょう。

現在、我々が使っているおよそすべての楽器は、「平均律」という方法で音を決定しています。これは、オクターブ間の周波数を均等に12で割り、それぞれの音の周波数として規定するという方法です。しかし、実はこれ、厳密には正しい音が鳴っていないのです。

音階を厳密に規定し、きちんとしたハーモニーを響かせるためには「純正律」という調律方法を使います。この方法においては、F#とG♭は違う音なのです。純正律の利点は、決定したスケールにおいては最も正しく、最も美しいハーモニーが鳴るという点。欠点は、決定したスケールでしか使うことができず、それ以外のスケール(例えば転調したり)ではまったく調和しないハーモニーになってしまうことです。一方、平均律の利点は、どんな調にでも対応できるという点。欠点は、どの調でも完全なハーモニーは得られないという点です。

いずれにせよ、これは歴史的な理由であり、平均律を使っている現在ではあまり気にしない問題ではありますが、バイオリン奏者などはこのあたりを意識的に使い分け、ド#はレ♭より若干高めに演奏したりしています。

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