表情付け

コード付けをしていく中で、「音楽にどのような時間的な表情の変化をつけていくか」を考えるのは大切なことです。「表情」を別の言葉で置き換えるなら「色彩」、あるいは「感情」と言ってもいいでしょう。まったく同じメロディーでも、コード進行を変えるだけで表情はがらりと変わります。表情をつけるかつけないかのバランスの取り方が、曲のセンスになって現れます。

大雑把なガイドラインとしては:

  • 一般的に、メジャースケールの方が表情がつけやすいですが、別の言い方をすれば表現が幼稚になりやすいです。マイナースケールは無表情になりやすい傾向があります。
  • ドミナント7thは非常にダイレクトな感情表現であるため、使う場所を考えないと幼稚になってしまいますが、延々と無表情な状態が続いた後で突然織り交ぜると、そのギャップがとても美しく映える場合があります。「A♭m7(9) - G7(+9) - Cm7(9) - F7」の、最後のF7などはそのいい例かもしれません。
  • クロマチックは感情の揺れを表現します。逆にホール・トーンでは非常に無機的な無表情になります。
  • 9th以上のテンションを含ませると表情が複雑になり、言うなれば「婉曲表現」的になります。
曲の全編に渡って無表情、あるいは全編に渡って感情的、という音楽は、聴いていて「引っかかる部分」がありません。この「引っかかる」というのが大切で、例えばほぼずっと無表情だった音楽の中に、一瞬表情豊かな表現が表れると、そこがスパイスとなってリスナーの興味を駆り立てます。ずっと感情むき出しとか、ずっと無表情の音楽は、聴いていてあざとく感じたり、飽きてしまったりするのです。押したり引いたりの駆け引き・・・なんだか恋に似てますね(きゃ〜!オレ、カッコイイ〜!)

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