「ホール・トーン」と「クロマチック」

ある音から始まって、すべて全音で進行するスケールを「ホール・トーン・スケール」、すべて半音で進行するスケールを「クロマチック・スケール」と呼びます。

どちらのスケールにも、特に主音は存在しません。さらに、ホール・トーン・スケールは2種類しか存在しません。例えばドから始まるホール・トーン・スケールと、ド#から始まるホール・トーン・スケールは違いますよね。でも、この2つ以外の音構成はないのです(これは弾いてみるとすぐに分かります)。クロマチック・スケールにいたっては、1種類しか存在しません(これは弾かなくてもわかりますよね)。

この2つ、「全音進行」か「半音進行」かという違いなのですが、性格的には正反対と言ってもよく、ホール・トーン・スケールは(部分的に使うと)無表情感を、クロマチックは揺れ動く感情を表現します。ただし、ホール・トーン・スケールをメロディーに全面的に使用すると、かなり不思議な、ある意味未来的な感じになります。ホール・トーン・スケールを聴いてすぐに「鉄腕アトム」のオープニングを思い出した方は、かなりのお歳ですね(笑)。

メロディーに使用しても良いのですが、例えばベースラインやクリシェカウンターメロディー等に使用すると、とても効果的に表情をコントロールできます。たとえば「ここにはあまり表情を付けたくない」という部分では、コード進行はホール・トーンを意識した動き(C - B♭ - A♭、etc)にすると無駄な表情がつきません。逆に、「ここでは豊かな感情表現が欲しい」と思ったときには、クロマチック進行を意識すると、甘く豊かな揺れ動きを表現できます。

ここでも大切なのは、やはりバランスです。どこで引くのか、どこで押すのか。どこまで甘くするのか、どこで苦味を効かせるのか。なんだか一杯のコーヒーに似てますね(きゃ〜!オレ、カッコイ・・・イのか、これは?)

inserted by FC2 system