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最後に

さて、ミックスとエフェクターの基礎について、いろいろお話してきました。

しつこいようですが、ミックスに「正解」はありません。「コンプの使い方こそミックスの肝だ」と訴える人もあれば、「EQをしっかりマスターすれば、コンプなんていらない」という人もいます。また、音楽ジャンルでも、例えばR&Bにおいては過剰なまでの低域ブーストが必要な場合もあるでしょうし、クラシカルな音楽についてはできるだけフラットなミキシングが必要でしょう。

エフェクターについての記述を読みながら「そんなのいいから、最適な数字を教えてくれよ!」と思った人もいるでしょう(僕もその一人です)。でも、それは教えられないのです。なぜなら、その「最適な数字」は、「あの環境で録れたあの音に対して最適な数字」であり、「別の環境で録れた別の音」には使えないからです。

ミキシングは音楽制作の最後の工程であり、楽曲の質を決める重要なポイントです。そして、実際の楽曲制作の技術とはまた違った技術を求められる場でもあります。正直言って、楽曲制作技術とミキシング技術の両方を完璧にマスターするなんてできないと思いますし、する必要もないと思います。でも、せっかく作った音楽を楽しく聴いてもらうためには、ミキシングにもある程度の情熱を注ぐべきだとは思います。どんなに素晴らしい作品を作っても、ミキシングで失敗すればひどい音楽に聞こえてしまいます。逆に、音楽的にはそれほど大した作品ではなくても、ミキシングがいいと素晴らしい音楽に聞こえます。

そして、ここでも大事なのは、この講座の一番最初に書いたポイント・・・つまり「聴く・覚える」ということです。プロのミキシングを息をつめてきちんと聴きましょう。様々な情報を本やインターネットから仕入れましょう。そして、いろいろ試して失敗してみましょう。

ミキシングとは、あなたの音楽のレベルを左右するとても大切な作業であることを忘れないでください。

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