基準となる音を決めよう(間隔の 感覚) 

前の章で述べた通り、相対音感を働かせるには「基準の音」がなければなりません。この基準の音は、とにもかくにも主音(トニック)であ るべきでしょう。つまり「ド」です。例えばグッとくる音楽に出会ったとき、トニックはどこなのか、その曲を聴きながら探しましょう。そして、一度トニック の音をつかんだら、後はそこからの距離ですべての音を決めていきます。つまり「音の間隔の感覚を磨こう」ということです(声に出して読むと、意味がわから ないけど)。

では、練習です。次の曲のトニックに当たる音は、どの音ですか?

分かりましたか?そう、「メ〜リさんの〜ひ・つ・じ〜」の中の、「さん」に当たる音ですね。ここがトニックです。主音は、その曲の中で 一番落ち着く音、一番終わり感が強い音です。それ以外の場所で終わるとなんとなく気持ち悪そうですが、「さん」の音で終わると落ち着くでしょう?

トニックがわかったら、後の音を「トニックからの間隔」で判断していきます。これをするためには、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ ド」の間隔がきちんと分かっていなければなりません。その中でも大切なのは、「完全5度」「長/短3度」の2つです。

完全5度:「ド」と「ソ」

長3度:長調の「ド」と「ミ」

短3度:短調の「ド」と「ミ(ミ♭)」

なぜこれらが大事なのかと言えば、まず完全5度は、上のドと下のドの中間の音で、かつ、和声機能上とても大切な音なので、これがつかめ れば「第2の基準音」として使えるからです(一般的に登場頻度が多い音でもあります)。また、「長/短3度」は、長調/短調を決めるためのとても大切な要 素であり、これが感覚的につかめれば、長・短両方の調で相対音感が使えるからです。

これらのことは覚えることではなく、聴いて慣れることで身に付けられます。ただし、最低でも2つの調の音配列は覚えておきましょう。例 えばハ長調とハ短調(同主調:どちらも主音が同じ)、またはハ長調とイ 短調(平行調:どちらも調号なし)といったペアがお勧めです。こうして おけば、「ミ」の音が鳴ったとき、トニックからの距離を基に、それをピアノで言う「ミ」に置き換えて、さらには短調の場合には正確にミを♭にして(イ短調 で覚えた場合には、「ラ・シ・ド」の「ド」にして)すべての音を正確に表現することができるようになります。

上の「メリーさんの羊」は、ハ長調で表すと「ミ〜レド〜レ ミ・ミ・ミ〜 レ・レ・レ〜 ミ・ソ・ソ〜」ですね。実際には、この曲はヘ 長調で弾いているので、「ラ〜ソファ〜ソ ラ・ラ・ラ〜」なのですが、少なくとも、このメロディーを「相対的に正確に」記録することはできるはずです。必 要ならこの後転調すれば良いのですから、この段階で調までを正確に記録する必要はないのです。

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