<Day 10>
D の悲劇



この後、エンディングまでの「最後のサビ繰り返し」へつなげます。このままつなげてもいいんです が、ここでもう一回ブレイクが欲しい。常套手段としてよく使うのはギターとかのソロなんですけど、この曲にギターソロは合わない。それどころか、どんな楽 器のソロもしっくりこないような気がしました。そもそも「ソロ」っていう発想がダメみたいです。そしたらどうしましょう?

・・・miyuに歌ってもらいましょうよっ!

ここで16小節程度の新たなメロディーを挟みましょう。「Dメロ」です。

・・・実は、これを思いついた瞬間「あぁ、やばい・・・」と思いました。Bメロでさえあんなに苦労したのに、Dメロ。これは苦労するパターンだぞ・・・。 でももう、これ以外のいい解決法はなさそうです。シーケンス上はひとまず、Dメロが入る予定の16小節を空けて、最後のサビをつないでおきます。2コーラ ス目のサビと最後のサビ。まったく同じこの両者を、どこまで回り道しながらまたつなげるか・・・。

Dメロは、今までとは明らかに違う印象を与えるものでなければなりません。メロディーラインもコード進行も、なんならリズムも、明らかに違うものを挟んだ ほうが効果が大きいように思いました。ということはつまり、ここまでに作ってきたものは、音色もフレーズも含めて使えない、ってことです。16小節分の 「ここに挟んでも違和感のない新曲」を作らなきゃならないわけです。

まずは適当な音でコードを弾いてみます。

Aメロやサビとの対比を出すためには、かなり凝ったことをしなきゃならない。でもやりすぎるとダサくなる。さらにはアレンジとの兼ね合いもあります。アレ ンジ次第でかっこよくもできるけど、アレンジ次第ではコード進行の方を変える場合だってある。それぞれが分業だといろいろ面倒そうだけど、どっちも一人で やってるとこういう時ラクね。

・・・実はこの後、音色とかリズムとかでもっっっのすごく苦労しました。この曲で一番時間がかかったのはここでした。トライアンドエラーを細かく書いて いったら大変なことになるし、そんなに細かいことに興味はないでしょうからあんまり書きませんけど、とにかくどこに当てればいいのかが手さぐりのまま。例 えば、ここでコードを弾いてるシンセの音一つとっても、どうにもしっくりこない。アタックが弱すぎず、自然に消えて、フィルターが後半に向かって開く感じ の音なんだけど、そのままだとおとなしすぎる、レゾナンスのレベルはどこまで、EQはどこに向かって、あんまりやるとうるさい、とかとか・・・。何回か やってダメなら、別のアプローチを試して、この音色づくりにも数日かけてます。

そして、<Day 4>でやったみたいに、このコードを聞きながら、斜め上を見上げながらメロディー を弾く。どうもしっくりこないなと思ったら、また今日の工程を最初からやり直し。何回繰り返しただろう。後はもう、言葉は悪いけど「どこで妥協するか」み たいな感じになってきましてね。

これで行こう、と。


B♭―Am−A♭―Gsus4―F#m7-5−FM7−Em7・E♭dim−Dm7・D♭M7

B♭から始まって最後まで、どんどん落ちる半音下降。これも簡単そうに書いてますけど、ここに来るのに相当時間がかかってます。ここまでできて「しかし、 半音で『落ちる』っていうのは、『nano』とどういう関係があるんだろう?上がるほうがいいのでは・・・?」とか思ったんだけど、そこはもう気づかない フリ。


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